選挙研究
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政党支持のねじれ
大阪市民を対象とするサーベイ実験より
善教 将大
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 36 巻 1 号 p. 49-61

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抄録

本稿では大阪で,有権者が国と地方で異なる政党を支持する政党支持のねじれが生じていることを,大阪市民を対象とするサーベイ実験から明らかにする。大阪では,自民支持者の一定数が維新の候補者に投票する傾向にある。本稿は,政党支持のねじれがこの自民支持層の票割れの原因であることを主張する。分析の結果明らかになったのは次の3点である。第1に大阪市民の中には,国政では自民党を支持する一方,大阪の政治では維新を支持する有権者が存在する。第2にそのような国と地方の間の態度変容は,国政自民とは異なる低い評価を「大阪自民」に下していることによる。第3に政党支持を,国政ではなく大阪の政治における支持と操作化した場合,自民支持層の票割れは緩和される。これらの分析結果は,既存の政党支持の操作的定義の限界を示すと同時に,選挙制度の制度間不均一性が有権者の政党認識を逆に精緻化させる場合もあることを明らかにしている。

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© 2020 日本選挙学会
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