抄録
本稿は,選挙ガバナンス研究会が2度にわたって実施した全国市区町村選挙管理委員会事務局アンケート調査(2013年,2017年)の分析を通じて,日本の選挙管理機関の変化を説明する。地方分権改革以前,日本の選挙管理は中央集権的で総務省が主導権を握っていたが,改革によって中央集権制が否定されて以降,マルチレベルガバナンスの複雑さが表面化し不安定なものになった。国と地方の選挙管理機関は相互に独立しているのに,業務上は垂直的に相互依存しており,地方においては地方政治家の影響が及びやすい。それゆえ,2013年選管調査は,日本の選管とそのパフォーマンスには多様性が存在することを明らかにした。ところが,2017年調査では地方の選管が中央政府に応答的に変化していることがわかる。変化の背景にあるのは,積極的投票権保障をめぐる業務増大である。それが地方政府の首長をして選管の専門性向上への投資を許したのであろう。