日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
甲状腺髄様癌における分子標的治療の開発
高橋 俊二
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2016 年 33 巻 3 号 p. 145-150

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抄録

甲状腺髄様癌はC細胞(カルシトニン産生細胞)から発生する希少癌であり,家族性(MEN2)と散発性があるが,殆どでRET遺伝子の変異が認められる。主に変異RET遺伝子と血管新生を標的とした分子標的薬の開発が進んできている。バンデタニブは,海外の第3相試験でPFSの有意な延長,奏効率45%,国内第1/2相試験で奏効率38.5%が得られた。おもな有害事象は下痢,高血圧,発疹,間質性肺疾患であった。レンバチニブは海外の第2相試験で奏効率36%,国内の第2相試験では奏効率22%が得られ,主な有害事象は高血圧,食欲不振,手足症候群,疲労,蛋白尿であった。ソラフェニブは海外の第2相試験で奏効率6.3%,国内では奏効率25%,有害事象は手足症候群,高血圧などだった。この3剤が2015年から2016年にかけて承認された。髄様癌に対する分子標的治療はプラセボに比較して生存期間に有意差が認められていないこともあり,進行が急速あるいは有症状の症例に対する治療選択肢として考えるべきである。

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