日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
原著
腺腫に伴う原発性副甲状腺機能亢進症術後における血清PTH推移の検討
田中 克浩緒方 良平太田 裕介惣田 麻衣岸野 瑛美菅原 汐織齋藤 亙小池 良和山下 哲正野村 長久山本 裕紅林 淳一
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2018 年 35 巻 2 号 p. 134-140

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抄録

腺腫が原因の原発性副甲状腺機能亢進症術後のPTH推移について2006年1月から2017年6月までに当科で手術を施行した72例の症例を後方視的に検討した。術後のPTHが1度でも基準値を上回った症例は16例(22.2%)であった。16例の術後PTHの詳細を検討すると,術後半年以内に一回の高値を示した症例が9例,半年以内で複数回の高値症例は7例であったが,術後高カルシウム血症をきたした症例は7例で,いずれも一過性でカルシウム補充を受けていた期間での一時的な現象であり,カルシウム補充なしで高カルシウム血症が持続した症例は認められなかった。術後PTH低下不良群では術前intact PTHとALPが有意に高く(P<0.0001とp<0.05),さらにPTH測定別では有意にwhole PTH測定例では有意に低下不良例が多かった(p<0.05)。術前ALP高値がPTHの術後低下不良に有意に関係する独立因子であった(p<0.01)。観察中に再発例は認めなかったが術後半年程度はPTHが安定しない症例が存在するので注意が必要である。

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