2018 年 35 巻 2 号 p. 141-144
症例は36歳女性。左頸部腫瘤指摘され当院へ紹介。紹介時の超音波検査では20mm大の囊胞の辺縁のみに充実部があり,細胞診の結果からも囊胞内の結節性甲状腺腫と診断し外来経過観察とした。1年後の再診時の超音波検査では囊胞内腫瘤は30mmまで増大し,その内部はほぼ充実成分に置き換わっていた。細胞診では明らかな乳頭癌の所見はないが核異型を認めclassⅢとの結果であり,急激に増大していることより手術施行した。術後病理では円柱細胞癌との診断であった。円柱細胞癌は,以前は予後不良とされていたが近年の報告では甲状腺組織外浸潤(以後:節外浸潤)がなければその臨床予後は通常の乳頭癌と同等であるとの報告が多数みられている。本症例に関しても節外浸潤なく手術可能であった1例を経験したので報告する。