東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の対外・外国直接投資(FDI)が拡大している。それに伴いASEAN域内では地元企業の国際化が急速に進展している。本稿ではASEANの代表的な多国籍企業を特定したうえで,それらの企業を事業展開先の地理的な広がり方の違いから「グローバル型」と「リージョナル型」に分類し,それぞれのグループにどのような特徴があるのか,各企業が属する業界の世界市場規模に着目して分析した。その結果,「グローバル型」では総じて中小規模の業種,「リージョナル型」では逆に大規模の業種が中心になっていることが分かった。このような現象には,ASEAN企業が新興市場(国)に本拠地を置く企業の中でも中国やインドなどBRICsの企業に比べ国際化の後発組で,経営規模も総じて小さいことに関係している可能性がある。