2022年1月のRCEP(地域的な包括的経済連携協定)の発効により,日本の貿易総額に占めるFTA(自由貿易協定)発効国との貿易額のシェアは約80%となった。日本企業はFTAをいかに活用していくかが今問われている。人口の減少により日本の国内市場規模が縮小しつつある中,中長期的に着実に成長が期待できるアジア市場をターゲットとする必要がある。アジア市場を狙うにはアジアと締結しているFTAの活用は不可欠である。これは地方の企業にとっても喫緊の課題である。このような現状認識に基づき,筆者の居住している石川県に本社のある企業がいかにFTAを活用しているかをインタビュー調査をした。石川県に焦点をあてたFTAの企業調査は研究として初めてである。全国的な調査と比較しながら課題として何があげられるのか。行政の支援はどのように期待されているのかなどを考察した。