2011 年 37 巻 6 号 p. 273-282
青果物の収穫後の取扱における物理的損傷は,ロスや品質低下に大きな影響を及ぼす。そこで,本研究では,バルクでの荷扱いを想定し,物理的ストレスのうちの落下衝撃が,キャベツの生理的,化学的特性に及ぼす影響について検討した。適期収穫したキャベツを,10,20,40,80cmの高さから水平コンクリート床に自由落下させ,その後,20℃に6日間保存し,保存中の呼吸速度,糖含量(スクロース,グルコース,フラクトース,およびそれらの合計としての全糖)を経時的に測定した。キャベツの呼吸速度は,落下処理直後に上昇し,その程度は,落下高さが大きいほど顕著であった。その後,呼吸速度は低下し,落下処理1日後には,対照区(落下処理無し)のそれとの間に,有意な差はみられなくなった。フラクトースと全糖は,保存1,3日後にやや低下し,6日後には顕著な低下がみられ,80cm,40cmから落下処理したキャベツで最も低い値を示した。すなわち,落下処理による生理的,化学的な影響として,呼吸速度の上昇と,糖含量の低下があることが示された。一方,落下処理後に,20℃,CA環境下に保存したキャベツにおいては,呼吸速度の上昇と糖含量の減少が抑制されたことから,CA環境条件によって落下ストレスによる生理的な損傷が低減されるものと考えられた。以上の結果から,収穫後のキャベツにおいて,落下処理は,処理直後の呼吸速度の上昇と,保存中の糖含量の減少を引き起こすこと,その影響が落下高さに依存すること,さらに,CA環境を含めた適切な環境の維持によりストレスの軽減と品質劣化の抑制が可能であることが示された。