日本食品保蔵科学会誌
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低温における雑穀アマランサスの貯蔵性に関する研究
小出 章二小石 学ATUNGULU Griffiths Gregory
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2012 年 38 巻 2 号 p. 93-99

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抄録

 低温貯蔵は籾・玄米の品質を保持できる貯蔵法として認められており,国内では低温貯蔵施設は数多く設置されてきた。本研究は,低温における雑穀アマランサスの貯蔵性を平衡含水率と品質変化の観点から調べたものである。ここでは,雑穀アマランサス(Amaranthus hypochondriacus, cv. New Azteca)を供試材料とし,貯蔵性の指標となる平衡含水率を温度(5,15,25℃),湿度8水準下で測定した。その結果,アマランサス種子の平衡含水率はChen-Clayton式にてほぼ完全に近似することができ,貯蔵中の温度と湿度からアマランサス種子の平衡含水率を求めることができた。貯蔵において,適切に水分管理を行うことは,品質保持および微生物学的観点から重要であるため,得られた収着等温線は,長期貯蔵に有益な情報となる。併せて,本研究では貯蔵温度(貯蔵期間,0~12か月)におけるアマランサスの種子の品質(水分,発芽率,色彩色度,一般生菌数,カビ・酵母数,脂肪酸度)を測定した。その結果,発芽率はすべての貯蔵温度・貯蔵期間において高く,色彩色度,一般生菌数,カビ・酵母数は,貯蔵温度・期間において顕著な変化はみられなかったが,貯蔵開始後12か月後の脂肪酸度は,5℃と15℃が25℃貯蔵の試料と比べて有意に低かった。25℃貯蔵の試料の脂肪酸度は貯蔵期間とともに上昇した。以上より,アマランサスは常温(25℃)よりも15℃以下での低温貯蔵の有用性が示された。

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© 2012 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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