2013 年 39 巻 3 号 p. 137-142
ホタテの貝柱を煮熱,乾燥させた白干しの製造では,乾燥工程中の貝柱の過剰な褐変が商品価値を下げる。この研究は,貝柱筋肉中の褐変反応にかかわる成分を明らかにすることを目的とした。ゲルろ過クロマトグラフィー分析と鎖長の異なる糖の褐変反応から単糖類のような低分子量の糖が候補に挙げられた。アミノ酸の存在は褐変反応を亢進した。さらに,C-6位がリン酸化されたG6PやF6Pは試験に用いたほかの糖やリン酸化等よりも強く褐変した。白干しの試作においてG6Pを浸漬に用いたものは乾燥工程中に褐変が促進した。この結果,貝柱のG6Pは白干しの外観品質に影響を与えることが考えられた。