日本食品保蔵科学会誌
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う蝕原性Streptococciのバイオフィルム形成に及ぼすナットウキナーゼの阻害効果
成澤 直規川崎 幸正中島 圭右阿部 申鳥居 恭好竹永 章生
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2014 年 40 巻 6 号 p. 273-278

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抄録

 う蝕原性Streptococcus mutansおよびStreptococcus sobrinusはスクロースを基質として非水溶性グルカンを産生し,歯面表面上に強固なバイオフィルムを形成する。本研究ではセリンプロテアーゼに属するナットウキナーゼの抗バイオフィルム効果について検討を行った。S. mutansS. sobrinusのバイオフィルムはナットウキナーゼ1mg/m濃度において約80%程度阻害された。このとき,非水溶性グルカン量の著しい低下が確認された。以上の結果からナットウキナーゼは非水溶性グルカン合成酵素に影響しているものと推察された。セリンプロテーゼに属するトリプシン,プロテイナーゼK,サブチリシンはナットウキナーゼと同程度のバイオフィルム抑制効果を有した。一方,パパインやブロメラインなどのシステインプロテアーゼのバイオフィルム抑制効果はセリンプロテアーゼと比較して著しく低下した。

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© 2014 一般社団法人日本食品保蔵科学会
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