2015 年 41 巻 2 号 p. 71-76
アマゾン川上流に分布するカムカム(Myrciaria dubia)は果汁にビタミンCを多量に含むことで知られている。このビタミンCを利用した食品や香粧品などの製品が販売されている。しかし,現地で果汁を搾る際に,果実の約40%を占める果皮や種子が残渣として処理されている。
そこで私たちは,果皮や種子の機能性素材としての可能性を探索している。これまでに,果皮や種子の高極性画分が抗酸化活性を示し,抗酸化活性成分として2種の加水分解型タンニン(カスタラジン,ベスカラジン)を同定した。一方,脂溶性画分は黄色ブドウ球菌に対してカナマイシン以上の抗菌活性を示した。本報では,果皮のn-ヘキサン抽出物を分離精製することにより,活性成分としてアシルフロログルシノールであるロドミルトンを単離同定した。この成分の7種のグラム陽性菌に対する最小発育阻止濃度は0.78~1.56μg/mℓであり,カナマイシン(1.56-6.25μg/mℓ)と同等かそれ以上の抗菌活性を確認した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対しても抗菌活性を示すと報告されているロドミルトンが,カムカム果汁残渣から単離された事は残渣の利用に有益な情報となる。