2021 年 47 巻 3 号 p. 139-144
近年,日本各地で大麦(Hordeum vulgare L.)収穫物の中にピンク色~赤色の粒(赤色粒)が散見され,外観品質の低下が問題となっている。本研究では,大麦赤色粒から色素を抽出し,陽イオン交換樹脂による分画およびUPLC-QTOF-MSE分析により原因色素をプロフェロロサミンAと同定した。さらに,大麦赤色粒から分離した細菌がポテトデキストロース寒天培地(PDA)に産生したピンク色素を分析したところ,同様にプロフェロロサミンAと同定された。これらの結果および以前の報告から,日本で散見されるピンク色~赤色の大麦粒はピンクシード病に感染していることを示唆している。我々は,硫酸鉄および抗真菌剤を添加した48 ウェル PDA プレートを用いたピンクシード病の簡易判別法を新たに開発した。本法は感染が明らかな粒だけではなく,曖昧な症状を示す粒においても判別が可能であった。搗精麦や米粒麦などの加工品,様々な大麦品種も判別可能であったことから,大麦の栽培・加工・流通段階においてピンクシード病由来の品質低下原因の解明に利用可能である。