食品と低温
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貯蔵中のタアサイの品質に及ぼすポリエチレンフィルム包装の効果
寺井 弘文
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1985 年 11 巻 4 号 p. 109-114

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抄録

タアサイを無包装および有孔 (φ5mm, 両面計8個) と無孔のポリエチレン袋 (厚さ0.02mm, 50×60cm) で包装した後, 1°, 10°, 20℃に貯蔵し, その品質の変化を調査した。その結果, 無包装は萎凋が著しかったが, 包装により防止された。また有孔より無孔の方が萎凋および黄化防止による品質保持の効果が良く, 10℃では2週間, 1℃では3週間無孔区で品質が保持された。
通気条件で炭酸ガスとエチレンの生成を測定したところ, どちらの生成量とも温度が低いほど少なく, 1℃では21日間にわたりエチレンの生成はほとんどなかった。包装内の炭酸ガスとエチレンの蓄積も1℃は10。や20℃に比較して少なく, 特にエチレンはほとんど認められなかった。
エチレンの前駆物質であるACCの含量は有孔, 無孔区とも温度が高いほど多く, また同一温度では有孔区より無孔区の方が多い傾向であった。
クロロフィルは貯蔵温度が低いほどよく保持され, 20℃では有孔より無孔の方が効果的であった。しかし, 1℃と10℃では有孔区と無孔区の差はなかった。
還元型のアスコルビン酸 (AsA) は貯蔵中減少する傾向であったが, 温度が低いほど減少は緩慢であった。また同じ温度での有孔区と無孔区の差は顕著でなかった。

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