日本食品低温保蔵学会誌
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マイタケ子実体の収穫後における炭水化物および有機酸の変化
吉田 博藤本 水石林 淳三
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1991 年 17 巻 2 号 p. 45-52

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抄録

マイタケ子実体の収穫後の生理・化学的特性の基礎資料を得るべく, 無包装貯蔵および密封包装貯蔵による低分子炭水化物および有機酸の5貯蔵温度区 (0, 5, 10, 20, 30℃) における経時的変化について検討した。
(1) 鮮度保持期間 (商品性限界時までの期間) は, 無包装貯蔵区では, 30℃で2~3日, 20℃で3~4日, 10℃で4~5日, 5℃で5~6日, 0℃で7日であり, 貯蔵温度の低下に伴い鮮度保持期間は延長された。密封包装 (PE100) 貯蔵による鮮度保持効果の有効性は認められなかった。
(2) 子実体より, トレハロース, グルコース, マンニトール, アラビトールおよびグルセロールが検出された。主成分はトレハロースとマンニトールであり, トレハロースは貯蔵中に顕著に減少することから主要な呼吸基質であることが示唆された。トレハロースの減少は貯蔵温度の低下に伴い緩慢となり, 低温貯蔵法はマイタケの有効な鮮度保持法であることが知られた。マンニトールは貯蔵に伴い顕著な増加を示し, その挙動をトレハロースと異にした。
(3) 子実体より9種類の有機酸 (ギ酸, 酢酸, 乳酸, シュウ酸, コハク酸, フマル酸, リンゴ酸, ピログルタミン酸, クエン酸) が同定され, 主要有機酸はリンゴ酸, ピログルタミン酸, フマル酸, クエン酸, 酢酸の5成分であった。子実体の総有機酸含量は貯蔵日数の経過ならびに貯蔵温度の上昇に伴い増加した。各種有機酸類の中でリンゴ酸, シュウ酸およびクエン酸は貯蔵に伴い増加し, 特に, シュウ酸の増加は顕著であった。

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