日本食品低温保蔵学会誌
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ギンナンのCA貯蔵
矢野 昌充長谷川 美典桑名 茂司町田 啓二
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1991 年 17 巻 2 号 p. 53-57

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抄録

ギンナンを0.5℃, 湿度90%の条件下で, CA貯蔵 ((1) 酸素5%, 二酸化炭素5%, (2) 酸素3%, 二酸化炭素6%, (3) 酸素3%, 二酸化炭素10%) し, 貯蔵期間の大幅な延長の可能性について検討を行った。
1. 胚乳の萎凋程度からみた貯蔵限界は減量率10%に到達した時点であった。湿度, 空気組成をコントロールしない場合には貯蔵5カ月で, 減量率10%を越えたが, 湿度90%でCA貯蔵した場合は240日後でもその値を下回った。
2. 湿度90%とCA貯蔵の組合せで殻の緑カビによる黒変と胚乳の脱緑が防止できた。
3. 湿度90%でCA貯蔵したギンナンは湿度, 空気組成無調整で貯蔵したものに比較すると, カロチノイド含量には差がなかったものの, アスコルビン酸, クロロフィル, 糖含量は何れも多かった。
4. 240日貯蔵したギンナンは全処理区で子葉の成長が認められたが商品性に影響するほどではなかった。
以上の結果から, 0.5℃, 湿度90%でCA貯蔵 (酸素3%, 二酸化炭素10%) することにより8カ月以上の長期貯蔵が可能と考えられた。

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