抄録
インドネシアは, 単純な工程で低価格の小企業に適応する固有の伝統食品を数多くもっている。特にこの10年間は製品の多様化などで小企業, 家族レベルの加工業であっても, 食品微生物や食品衛生の理解も高まってきた。特に栄養食品開発研究センターや大学の研究室が伝統食品を研究し, これらを資源と考えて工業化への開発を目論むようになった。
この論文はこれらを基盤としてインドネシアの農産物の伝統加工食品および加工技術の改良開発について特に大豆, 米 ココ椰子を主として短かく解説してある。
大豆の場合, テンペとケチャップ (醤油類似) をあげ, 前者はRhizopus obigosporusを後者にはAspergillus oryzaeなどを選択株として使用, 接種法なども改良された。剥皮, 蒸煮などの操作も機械化された。
米の伝統食品は米チップのケルブック, 中部ジャワのケラクやブレムケーキを採りあげ, 製法とその背景について述べた。
またココ椰子の食品として, サトウキビやビートの糖よりすぐれた椰子糖の製法を簡略に記載している。