日本食品保蔵科学会誌
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イソチオシアナート化合物の抗菌活性
岸本 憲明田野 達男原田 靖裕増田 秀樹
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1999 年 25 巻 1 号 p. 7-13

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抄録
5種類の側鎖構造をもつ19のITC類の抗菌活性を検討し, 以下の点を明らかにした。
1. ArylITC類の抗菌活性が高く, 次いでω-MeS-NCS類, ω-Alkenyl ITC類, ω-MeSO-NCS類の順で最も活性が低かったのはAlkyl ITC類であった。
2. 側鎖構造の違いによって, 抗菌スペクトルが異なる傾向が認められた。Aryl ITCとω-MeS-NCS類は真菌とグラム陽性菌の生育をよく阻害したがグラム陰性菌に対する抗菌活性は低かった。一方, ω-AlkenylITC類は真菌とグラム陰性菌の生育をよく阻止したが, グラム陽性菌に対する抗菌活性が低かった。ω-MeSO-NCS類はグラム陽性菌とA. nigerの生育を阻止したがグラム陰性菌とC. albicansに対する抗菌活性は低かった。
3. AlkylITC以外の4種のITC類は, MRSAに対しても高い抗菌活性を示し, MSSAと同濃度で生育を阻止した。
4. 抗菌スペクトルの異なるITC類を組み合わせることにより, 抗菌スペクトルの拡大と抗菌力の増強をはかることができた。
5. Alkyl ITCを除くITC類は, 代表的な食品保存料の抗菌力に比べると5-10倍高い抗菌活性を示した。
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