抄録
仙草の抽出液は単独ではゲル化せず, デンプン希薄溶液を添加して糊化すると強いゲルができることが知られている。ゲル化力強化との関連において粘弾性に影響すると考えられる多糖類について検討した。
仙草の一般成分は糖質が多く, 無機成分はK, Ca, Mgが多かった。5%炭酸水素ナトリウム溶液にて抽出多糖に強ゲル化力が認められ, 細胞壁多糖の分画結果から本多糖はアルカリ溶液にて可溶化し, 葉では中性糖として, グルコース, アラビノースおよびキシロースを主体とする多糖, 茎ではアラビノースを主体とすることが推察された。炭酸水素ナトリウム溶液にて抽出された多糖の分子量は14,000~16,000であり, また, アルカリ画分では分子量15,000~38,000が主体であったことより仙草中のゲル化作用に関与する多糖の分子量はかなり小さいものと予想された。
本研究を行うにあたり,プラズマ発光分光分析測定に御協力いただいた本学生物応用化学科後藤逸男教授に御礼を申し上げます。