抄録
25℃環境下でのミツバ種子の発芽および葉形成の生長過程における含有脂質の動向について調べた。
(1) 種子中のTL含有率は播種後28日目のミツバにおいて約17%に減少し, さらに主要脂質であるTGの組成比は76%から16%になり減少が顕著であった。
(2) 発芽および生長過程中のGLにおいてASG, SG組成比の減少とMGDGとDGDG両組成比が増加した。またPLにおいては顕著な変化は認められなかった。
(3) TLの主要脂肪酸は18 : 1 n 9酸18 : 2 n 6酸, 18 : 3 n 3酸, 16 : 0酸, 16 : 3 n 3酸であり, 発芽および生長過程においていずれの場合にも18 : 1 n 9酸組成比の低下が見られた。また各分画脂質区の中でGLの18 : 3 n 3酸, 16 : 3n3酸組成比の顕著な上昇が確認され, 脂質組成の場合と同様, GLの変動が大きかった。
(4) ミツバ種子の発芽時には主要脂質であるTGが消費され, その後の幼葉, 成葉などの器官や組織形成にはGLが大きく関与していることが明らかになった。