抄録
エチレン処理後の追熟中におけるポリフェノール酸化酵素 (PPO) の変化について追究した。抽出液中の界面活性剤の有無により, 調製したバナナ果肉中の全PPOおよび可溶性PPOは新鮮果重g当たりそれぞれ100unitおよび2unitであった。両PPO活性ともエチレン処理後の追熟中に顕著に増加し, 2日後にクライマクテリック様のピーク示した。一方, エチレン無処理区では両活性とも変化量はきわめて低かった。バナナ果皮においては, 新鮮果重g当たり110unitおよび0.7unitの全および可溶性PPO活性が認められたが, 両活性ともエチレン処理による追熟中の変動は認められなかった。これらの結果はバナナ果肉および果皮のPPOの大部分が潜在型で存在することおよび果肉の可溶性PPOのみがエチレンによる追熟処理によって影響を受けることを示唆する。