日本食品保蔵科学会誌
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バナナ追熟過程のポリフェノール成分の変化
村 清司谷村 和八郎
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2003 年 29 巻 6 号 p. 347-351

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抄録
追熟前の緑熟果のバナナ果肉には103mg/100gのポリフェノール成分が含まれ, その約60%は分子量2×105以上のポリフェノール成分であり, その分子量2×105以上のポリフェノール成分が渋味成分であることが確認された。この渋味を呈するきわめて高分子のポリフェノール成分は, 塩酸での加水分解によりシアニジン, デルフィニジン, カテキンなどを生成し, ロイコアントシアニジンやカテキンからなるプロアントシニジンであることが知られた。また, 追熟過程におけるポリフェノール成分の変化を限外濾過法およびイオン排除クロマトグラフィーで分画して調べた結果, 渋味を呈する分子量2×105以上のポリフェノール成分は追熟過程で消失したが分子量2×105以下のポリフェノール成分は追熟過程での変化がみられず, 追熟による渋味の消失は, 渋味成分である分子量2×105以上のポリフェノール成分の重合による不溶化に起因することが示唆された。
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