日本食品保蔵科学会誌
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自然発症ならびに実験的糖尿病ラットにおける血糖制御, 脂質代謝および細胞性免疫能に及ぼす桑葉添加食摂取の影響
古庄 律任 良〓野口 有希安原 義天野 良英片岡 榮子
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2004 年 30 巻 6 号 p. 271-276

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抄録

本研究では, 糖代謝および脂質代謝に及ぼす桑葉投与の影響について調べるために, I型あるいはII型糖尿病モデルラットを用いて以下の二つの実験を行った。実験I : GKラットを用いて桑葉の効果を評価した。1%桑葉添加食 (MS) 群は, 糖尿病対照 (DM) 群に比べ食後血糖値は低く推移した。解剖後のMS群の血中グルコース濃度はDM群に比べて低値となる傾向を示した。また, MS群の血清中の総コレステロールとTBARSはDM群よりも有意に低下した。実験II : ストレプトゾトシン (STZ) で誘導した糖尿病ラットを用いて桑葉食の効果を評価した。5%桑葉添加食 (ML) 群の血清中グルコース濃度, 総コレステロールはSTZ群よりも低値を示した。また, ML群の血清, 肝臓, すい臓および腎臓中のTBARS値もSTZ群のそれらよりも低値を示した。さらに, ML群の脾臓中CD4-T細胞/CD8-T細胞比はSTZ群より有意に3倍大きく, CD4-T細胞の発現が上昇していることを認めた。これらの結果は, 桑葉添加食はI型およびII型糖尿病ラットの糖代謝および脂質代謝を改善し, 生体酸化の抑制による細胞性免疫機能の上昇に関与することを示唆するものである。

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