バナナの褐色斑点は市販途中で黄熟果の果皮にみられるようになるが, これについて顕微鏡観察, アルコール消毒処理により研究を行った。光学顕微鏡による果皮断面の観察では, 褐色斑点は表皮から数層の細胞に及んでいた。表面からの観察では, 褐変部位の細胞内に褐変粒が存在していた。走査型電顕での観察では褐色斑点部位は周りの健全な果皮よりクレター状に陥没しており, 中央に気孔が存在していた。褐色斑点部にはカビの菌糸はみつからなかった。また, 果皮のアルコール処理では褐色斑点の出現を阻止することができなかった。これらのことは褐色斑点が菌の感染によるものではなく, 老化による生理的な現象であることを示している。ドーパミン含量は追熟とともに減少したが, 特に褐色斑点部位では少なくなった。