日本食品保蔵科学会誌
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梅漬け製造過程廃棄物中のシソアントシアニン色素の安定性
津久井 亜紀夫村上 智子林 一也
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2005 年 31 巻 3 号 p. 103-109

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抄録
新鮮な紫蘇葉から濃赤紫色灰汁入梅酢液, 濃赤紫色灰汁除去梅酢液, 精製アントシアニン (AN) 梅酢液, 精製AN緩衝液および18%食塩添加精製AN緩衝液の分析用各試料液を調製した。この試料液を60日間貯蔵しpH, 褐変度, 吸光度, 色調およびHPLC分析を行い, 濃赤紫色灰汁入梅酢液中のANおよび廃棄される濃赤紫色灰汁液のANが利用可能であるか検討した。 (1) 廃棄される濃赤紫色灰汁液からのANの収率は0.85%で比較的多く含まれる。 (2) 18%の食塩を添加した精製AN緩衝液では, 食塩添加によりpHが1.30となったが, その後60日目までpHの変化がなかった。他の各梅酢液試料中では貯蔵60日目までpHの変化がなかった。 (3) 梅酢液中の各試料液は25℃, 60日間貯蔵すると褐変度が日数の経過に伴い増加した。 (4) λ525nmにおける貯蔵前のEを100としたときの貯蔵後の相対的吸光度は濃赤紫色灰汁入梅酢液の場合増加した。他の試料液は相対的吸光度が減少した。 (5) 各試料液の色調変化により濃赤紫色灰汁入り梅酢液は梅漬けに利用できないが, 濃赤紫色灰汁液から抽出・精製したANは十分利用可能であった。
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