抄録
本研究は, さつまいもを使った機能性飲料の製造工程中, 原料であるベニハヤトいもが, 蒸しおよび酵素処理により生じるにおい変化を官能評価とGC-MSにより分析したものである。boiled-saccharified処理でどのような変化を示すかを調べたところ, まず官能試験結果, 生のべニハヤトいもは青臭さとニンジン様臭が強いが, 処理過程で甘いにおいと重いにおいが増し, においの強さが増すことが明らかになった。またGC-MS分析により, 処理後, におい成分数および濃度が高くなることが明らかとなった。GC-MS分析による処理前と処理後の個別におい成分の比較変化をしたところ, 処理過程により, テルペノイド, ケトン化合物, 高分子のアルデヒド, 芳香族アルデヒド化合物が増加する一方, 生いもの成分で多くみられた低分子のアルデヒド化合物の含量は減少した。さらに, これら化合物の変化と官能評価値との関連性, および各化合物の生成メカニズムが論じられた。