抄録
Arthrobacter globiformis I42染色体DNA上にコードされたglucodextranase(Fig. 1)下流より,1731 bpのopen reading frameをもつoligo-1,6-glucosidase遺伝子(Fig. 2)を単離した後,pETシステムを用い大腸菌により発現した.本形質転換大腸菌の粗抽出液よりNi-NTAカラムクロマトグラフィーを用い,精製oligo-1,6-glucosidaseを得た(Fig. 3).得られた精製酵素は,分子量63 kDa,p-nitrophenyl α-D-glucopyranosideに対するKmは1.76 mM,Vmaxは664 U/mgを与え,Bacillus由来のoligo-1,6-glucosidaseと類似の性質を示し,イソマルトースに対するKmは24.1 mM,Vmaxは39 U/mgを与えた.本酵素はBacillus由来のoligo-1,6-glucosidaseと同様に,重合度6以下のα-1,6結合からなるイソマルトオリゴ糖を基質として認識し,重合度7以上の基質には作用しなかった(Fig. 4).このことはglucodextranaseが主として重合度7以上のα-1,6グルカンを基質として認識することから,glucodextranaseとoligo-1,6-glucosidaseの作用によってArthrobacter globiformis I42はデキストランをグルコースに加水分解し炭素源として用いていることを示唆している.