Journal of Applied Glycoscience
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第12回糖質関連酵素化学シンポジウム
GH-94加リン酸分解酵素の反応機構と基質認識
日高 將文本多 裕司北岡 本光韮澤 悟林 清若木 高善祥雲 弘文伏信 進矢
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2005 年 52 巻 2 号 p. 191-196

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抄録
Vibrio proteolyticus由来キトビオースホスホリラーゼ (ChBP) はキトビオース (GlcNAc)2のβ-1,4グリコシド結合を加リン酸分解し, α-GlcNAc-1-リン酸とGlcNAcを生成する反転型加リン酸分解酵素である. ChBPはセロビオースホスホリラーゼ (CBP), セロデキストリンホスホリラーゼとアミノ酸配列の相同性を有し, ともに加水分解活性を全く持たないため, グリコシルトランスフェラーゼGT-36に分類されていた. 加リン酸分解酵素は逆反応である糖リン酸エステルを供与体とした糖転移反応も触媒し, この反応を用いて加リン酸分解酵素を実用的なオリゴ糖合成酵素として利用することも可能である. 本研究は加リン酸分解酵素の応用研究のための触媒反応, 基質認識機構の構造基盤の獲得を目的とした. GT-36として初めてChBPの立体構造を明らかにしたところ, その構造はβ-サンドイッチドメイン, リンカーヘリックス, (α/α)6バレルドメイン (触媒ドメイン), β-シートドメインから成り, 既知のグリコシルトランスフェラーゼとは全く異なるドメイン構造を有する一方, 加水分解酵素GH-15・グルコアミラーゼ, GH-65・マルトースホスホリラーゼと高い構造の相同性を有していた. また, GlcNAc (基質), 硫酸イオン (リン酸アナログ) の三者複合体構造から, 反転型加リン酸分解酵素の反応機構は, グリコシド結合を求核攻撃する分子がリン酸である点を除けば, 反転型加水分解酵素の反応機構と同じであることを明らかにした. ChBPとGH-15, GH-65との立体構造, 活性中心部位の構造, 反応機構の類似性から, GT-36はGH-94に再分類されることになった. これは, GTに分類されていた酵素が立体構造の解明によりGHに再分類された最初の例である.
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© 2005 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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