Journal of Applied Glycoscience
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第13回糖質関連酵素化学シンポジウム
カビの生産する新規機能を有するエキソ型酵素に関する研究
阪本 龍司
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2006 年 53 巻 2 号 p. 115-122

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抄録
(1) Aspergillus niger由来のエキソポリガラクチュロナーゼ (Exo-PG) の機能解析:ペクチン中のガラクチュロン酸残基は部分的にメタノールや酢酸,キシロースで修飾されている.本研究ではA. nigerより2種のExo-PGを単離し,種々のタイプのペクチン質に対する特異性を検討した.その結果,両酵素ともにキシロガラクチュロナンおよびアセチル化ホモガラクチュロナンを末端から切断し,キシロガラクチュロン酸およびアセチル化ガラクチュロン酸を生成することをESI-ITMS分析等により明らかにした.すなわち,Exo-PGはホモガラクチュロナンに結合するキシロースや酢酸によって反応が妨害されないことが判明し,ペクチン中の修飾基分布の解析に有効であることが示唆された.(2) Penicillium chrysogenum由来のエキソアラビナナーゼの機能解析:直鎖状還元型アラビナンを基質として,本酵素の反応産物をHPAEC分析した結果,本酵素は非還元末端よりビオース単位で切断することが明らかとなった.DP 7を基質として,酵素反応産物の経時変化を分析することにより,本酵素は“multi-chain attack mode”で基質に作用することを明らかにした.種々のアルコール,糖の存在下で直鎖型アラビナンに本酵素を作用させると,アラビノビオース転移能を示した.グリセリンを受容体とした場合の主要転移産物を単離し,その構造をNMR等によりO-α-L-arabinosyl-(1→5)-O-α-L-arabinosyl-(1→1)-glycerolと決定した.このことから本酵素はアノマー保持型酵素であることが証明された.さらに本酵素遺伝子の塩基配列を決定し,アミノ酸配列相同性検索と疎水性クラスター解析の結果から,本酵素は既報のアラビナン分解酵素とは異なるタンパク構造を有していることが判明し,7種の機能未知タンパク質とともに新たにGHファミリー93が形成された.
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© 2006 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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