Journal of Applied Glycoscience
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デンプン性豆類から調製したアンの食物繊維量と粒子形態
小嶋 道之清水 英樹大庭 潔
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2006 年 53 巻 2 号 p. 85-89

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抄録
デンプン性豆類 (小豆およびインゲンマメ; [手亡および金時の2品種]) から調製したアンの食物繊維含量と粒子形態との関係について検討を行った.3種のアンの総食物繊維値は,煮熟時間の増加にともない低下した (Fig. 1).しかし,煮熟時間の違いによるアンの一般成分値にはほとんど違いが認められなかった (Table 1).調製したアンの粒度分布は,煮熟時間に関係なくほぼ一定であった.しかし,走査型電子顕微鏡観察によるアン粒子表面の観察から,煮熟時間が長いと粒子表面に損傷部位が多く存在することを認めた (Fig. 3, 4).調製したアン中の崩壊粒子,損傷粒子および完全粒子の割合を求めたところ,崩壊粒子は1%前後と少なかったが,煮熟時間の増加にともなって損傷粒子が増大し,逆に完全粒子が減少することを見出した (Fig. 5).アンの食物繊維定量値とアンの完全粒子の割合には正の相関関係が認められた (Fig. 6).これらの結果を総合して,デンプン性豆類の加熱による食物繊維定量値の増加の主な理由は,加熱により形成されたアン粒子中の「完全粒子」により,消化酵素が作用しづらいことに由来すると判断した.
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© 2006 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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