抄録
ハイアミロースコーンスターチ(アミロース含量50%)を次亜塩素酸ソーダにて酸化し,各種性状を測定した。反応条件はpH11,40℃ とした。酸化剤量は有効塩素量として対澱粉1~8%添加した。 1)ハイアミローススターチの収率は酸化剤量が8%のとき90%であり,普通スターチのそれに比べ優っていた。 2)アミログラフィーによる粘度の測定は7%試料濃度では粘度を示さなかったので15%で行なった。ハイアミローススターチのフォトペーストグラフィーでの透光度は90℃ になっても低かった。酸化剤量が増せば,粘度は低下し透光度は増加した。 3)膨潤力および溶解性を90℃ にて測定した。膨潤力は酸化剤量が1~4%の間では緩慢に低下したが5%以上では急速に低下した。溶解性は酸化剤量:に比例して直線的に増加した。 4)酸化剤量が増すにつれてカルボニルおよびカルボキシル基の生成量は増加した。ハイアミローススターチの官能基含量は普通スターチのそれよりもやや少なかった。 5)X線回折図から酸化剤量が8%でも結晶域での澱粉粒の変化はなかった。 終わりに,本研究を行なうにあたり試料ハイアミロースコーンスターチの提供をいただいた豊年製油株式会社のご厚意に感謝いたします。また,本研究に発表の機会を与えられた原田一郎研究所長ならびに研究にご協力をいただいた秋本喜代子氏に厚く感謝します。