抄録
1.タピオカ澱粉に(1)第3級アミンクロライドおよび(2)glycidyl tertiary amineをそれぞれ反応して陽性澱粉を得た. 2.(1)の反応ではethyl基からpropyl基と炭素側鎖が1個ふえることにより置換がほとんど抑制された.(2)の反応ではDSはdiethyl基と環状のpyrrolidyl基とでは大きな差はみられず,炭素1個ふえたpiperidyl基になると大きく減少した. 3.ビスコグラムの糊化特性については,(1)の反応ではDSの増大とともに糊化開始温度は低下し,最高粘度は増大した.(2)の反応ではとくにglycidyl diethyl amineを置換したものは,温度95℃ に保持すると粘度はこれまでよりもさらに増大した.これはエポキシの開環に伴う澱粉の架橋形成によるものと考えられる. 4.(2)の反応でエポキシの開環で生ずる水酸基により陽性澱粉の膨潤が高められたと考えられる. 5.glycidyl piperidineを置換し,反応回数を増加して得た陽性澱粉においては,置換反応が進むにつれて澱粉粒の表面の反応した部分が離脱し,それらが凝集し固まり合ってしわ状物質を形成していることがSEMによって観察された.