抄録
Penicillium citrinum由来のエンド-1,4-β-ガラクタナーゼおよび数種のβ-ガラクトシダーゼが触媒する糖転移反応を,アリル化合物を受容体として検討した.本ガラクタナーゼは,Escherichia coli,Penicillium multicolor,Bacllus circulans ,Asprgillus oryzae由来のβ-ガラクトシダーゼよりも広い受容体特異性を示した.すなわち,さまざまなヒドロキシベンゼン類およびヒドロキシ安息香酸類がガラクタナーゼにより転移生成物を与えたのに対して,それらのうち大部分のものはβ-ガラクトシダーゼには,よい受容体とはならなかった.両酵素とも,カルボキシル基と水酸基が隣接した配向を有する化合物に対して転移反応の効率が低下したが,ベンジルアルコール類およびヒドロキシベンジルアルコール類は,両酵素のよい受容体であった.両酵素の転移活性を,1,3-ジヒドロキシベンゼンを受容体としてさらに詳しく比較した.ガラクタナーゼを用いた場合,受容体濃度,酵素活性,反応時間の増加とともに転移生成物も増加した.しかしβ-ガラクトシダーゼでは,高い酵素活性を用いた反応や長時間の反応では,転移生成物が加水分解されるために収率が低下した