抄録
16栽培種の甘藷澱粉の物理化学的特性を調べた.平均粒径や粗タンパク含量,結合リン酸含量,X線回折図形においては極端な特性値を示すものはなかった.ブルーバリュー法と二波長測定法で測定した見かけのアミロース含量は13%から19%の範囲にあり,二つの方法による値は,いくつかの品種のものを除いて,よく一致した.ゲル濾過において枝切り澱粉は概して三つの画分に分かれ,その画分を重合度の大きいものからFr1,2,3とした.このとき,鎖長分布にはわずかな品種間差が認められた.一方,アミログラフィー,膨潤力,溶解度の特性はそれぞれの澱粉で若干異なっていた.これら澱粉の構造と物性の特性値を統計的に解析したところ,鎖長分布におけるFr2の割合と糊化開始温度およびセットバックに有意な相関があった.また,アミロースとFr1含量との差として求めたアミロペクチン由来の長鎖画分の割合にもいくつかの物性値との相関が見出された.アミロース含量はいずれの特性値とも相関がないことから,栽培品種別甘藷澱粉の物性の多様性にはアミロース含量よりアミロペクチン成分が寄与していることが考えられた.