抄録
サイクロデキストラン(CI-7, CI-8, CI-9)の溶解特性およびいくつかの包接特性をサイクロデキストリン(CD)と比較した. CIは水に対する溶解性がきわめて高いが,CI-9は80%土タノール, n一プロバノールで容易に沈澱した.CIはTrpとの反応性がCDよりも高かった.CDは各種の界面活性剤と反応して著量の沈澱を生じたが,CIの反応性は小さいことがわかった.CIの反応系にエタノール,アセトニトリル(73%)を添加すると沈澱の生成は著しく促進されたことから,CIの溶解性を低下させると包接反応が亢進されるものと推定された.α一グルコシダーゼによる基質のフェニル-α一グルコシドの分解はCIにより抑制されたが,CDの添加では逆に分解反応が強くなるとの結果が得られた.