Journal of Applied Glycoscience
Online ISSN : 1880-7291
Print ISSN : 1344-7882
ISSN-L : 1344-7882
マルトオリゴ糖両末端修飾化合物を用いたヒトおよびブタ膵臓α-アミラーゼの基質特異性
岡田 正通小川 浩一碓氷 泰市
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 47 巻 1 号 p. 35-44

詳細
抄録

 p-ニトロフェルα-マルトオリゴ糖(重合度3-5)を基質に用い,グリコシダーゼの糖転移反応を利用して,非還元末端グルコシルにガラクトシル基およびN-アセチルグルコサミニル基を位置選択的導入した一連のマルトオリゴ糖両末端修飾誘導体を合成した.ガラクトシル基を修飾した:p-ニトロフェル45 -O-β-D-ガラクトシル-α-マルトペンタオシド(Gal4G5P),p-ニトロフェル44 -O-α-D-ガラクトシル-α-マルトテトラオシド(Gal4G4P)そしてp-ニトロフェル43 -O-β-D-ガラクトシル-α-マルトトリオシド(Gal4 G3P)のヒトおよびブタ膵臓α-アミラーゼに対する水解様式と動力学パラメーターは,それぞれの糖重合度に対応してp-ニトロフェルα-マルトヘキサオシド(G6P),P-ニトロフェルα-マルトペンタオシド(G5P)そしてP-ニトロフェルα-マルトテトラオシド(G4P)のそれらと近似した値を示し,活性部位上であたかもGal残基をGlc残基1個分に置き換えたような結合特異性を示した.一方,N-アセチルグルコサミニル基修飾基質であるp-ニトロフェル35-N-アセチルグルコサミニル-α-マルトペンタオシド(NG5P)とp-ニトロフェル34-N-アセチルグルコサミニル-α-マルトテトラオシド(NG4P)速度パラメーターはそれぞれG5PとG4Pに対応しており,活性部位上であたかも末端GlcNAc残基を無視するかのような結合特異性を示した.このように一連の両末端修飾基質は両α-アミラーゼの活性部位における基質認識プローブとして有用であることが実証できた.

著者関連情報
© 日本応用糖質科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top