Journal of Applied Glycoscience
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ビートパルプヘミセルロースの抽出と構造解析
加藤 陽治小林 幹彦
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2000 年 47 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

 ショ糖搾汁残渣ビートパルプの各種酵素による糖化率向上をはかるための研究の一環として,ビートパルプヘミセルロースの構造解析を行った.ビートパルプ構成多糖を常法により分画した.24%KOH抽出画分をさらに分画し,キシラン画分とキシログルカン画分を得た.それぞれを構成糖,糖結合様式および酵素分解の分析等に供し構造を推定した.キシランの主鎖はD-キシロース残基がβ-1,4結合で直鎖状に結合しており,キシロース残基の約11%に中性糖や酸性糖が側鎖として結合した構造と推定した.キシログルカンを構成しているオリゴ糖単位は,XXXG,XXLG,XLXG,XXFG,XLLGおよびXLFG[XXXG等はFryらによるキシログルカンオリゴ糖の表示法で,主鎖の各(1→4)-β結合のグルコース残基の分岐様式により一文字コードで示される.G=β-D-Glc,X=α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc,L=β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc,F=α-L-Fuc-(1→2)-β-D-Gal-(1→2)-α-D-Xyl-(1→6)-β-D-Glc]で,その比は44:1:3:25:1:26であった.ヘミセルロース中のキシロース残基の約50%がキシログルカンのキシロース残基に,残りがキシランのそれに由来することがわかった.

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© 日本応用糖質科学会
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