2019 年 24 巻 1 号 p. 69-76
「認知症ケア体験研修」を受講した急性期病院看護師の認知症看護実践の様相を明らかにすることを目的に,看護師10人に半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した.【体験研修での実感を伴った学び】があることで,看護師は【認知症高齢者の立場に立った安心につながる看護】【身体拘束をせず安全に過ごせるための看護】【その人らしい生活が継続できるための連携】を行い,【認知症看護の実践による手応え】を得ていた.これは認知症高齢者への看護や必要な連携を強化するだけでなく【認知症看護の質向上に向けた主体的な発信】を支えるものとなっていた.また,認知症看護実践には【認知症看護を実践しやすい雰囲気やシステムの存在】が必要で,実践によりさらに強化されていた.認知症看護実践の促進は,体験研修受講者の立場や組織のあり方に左右されることが示唆され,今後は認知症看護の質向上に向けた組織づくりの課題を明らかにする必要がある.