2011 年 14 巻 p. 151-168
東アジア諸国では,急速な量的拡大や大学の自律性の拡大などを背景に高等教育の多様化が進み,後期中等教育との関係をより適切なものにするための努力が行われている.そのうち入学者選抜方法の改革を取り上げて韓国,台湾,中国の状況を検討した結果,程度や方向性には違いがあるものの,どの国でも,全国統一型学力試験の見直しが進められていること,評価尺度の多元化として学力試験の結果以外の要素が考慮される選抜方法が導入されていること,高校での多様な活動の成果が考慮されてきていることが明らかになった.同時に,一国内でも大学によって多様な方法がとられるようになっている.今後は,そうした機関レベルでの具体的な取り組みや,広義の接続関係に含まれる方策まで視野に入れたきめの細かい検討が必要になるだろう.