抄録
屋久島西部海岸林では、ニホンザルの長期調査が行われており、その密度も比較的よく分かっている。しかし、それ以外の地域は、地形が急峻でアクセスの困難な場所が多く、ほとんどデータがない。そこで、カメラトラップを設置することにより、アクセスの困難な地域での密度推定を試みた。
2013年冬に、屋久島西部地域の、標高50~300mの低標高地3カ所と、標高350~470mの中標高域1カ所にカメラトラップを設置し、動物の撮影を行った。1カ所につきカメラを約20台、140m間隔のグリッド状に配置した。
低標高域では、中標高域よりもニホンザルの撮影頻度が高く、標高が高くなると、密度がかなり低下することが示唆された。
また、低標高の3地域では、過去の人為的な攪乱の大きい地域で、密度が高い傾向があった。およそ50年前には、人によって利用されていた地域もあり、そのような人の利用は、現在の植生にも影響を与えていると考えられる。ニホンザルの密度の違いは、このような植生の違いから生じているかもしれない。