近年,日本の高等教育を取り巻く環境変化は著しく,学力・学習目的・学習動機・学習習慣の多様な新入生を受け入れる大学が急増している.初年次教育を大学生への移行を支援する教育として位置づけるだけでなく,「高校4年生のための教育」といった高校と大学の接続の側面を意識した教育として捉える動向もうまれつつある.この動向からは,従来,中等教育までの普通教育機関とは異なり,専門教育を担当する機関として,学校教育法によって扱われてきた高等教育機関に,新たな教育接続という視点で教育を提供することが求められているのではないか.こうした動向を視野にいれて,本稿では,「大学から見た高校との接続は何か」というテーマのもとで,高大接続についての論点を整理し,定量データから新入生の実像を探る.次に,日米の初年次教育調査結果から日米における高校と大学の接続の差異を浮き彫りにした後,日本の教育を中心とした高大接続の方向性を検討する.