2014 年 17 巻 p. 45-63
近年,学長リーダーシップの構築による教育マネジメントが提言されている.大学運営の改革論は,戦後,半世紀におよぶイシューであるが,学長リーダーシップ論は,マネジメント手法の問題を,権限体系の問題に還元する特徴がある.その理由には,大学管理運営の法制化が実現しなかったことから,管理体制の欠落が政策的に追求されてきたことがある.また,学長リーダーシップ論は,バーナード=サイモン革命を経た組織マネジメント論の発展を反映しておらず,大学運営の特徴であるシェアド・ガバナンスの点からも問題がある.他方,教育の専門性の観点から,教育マネジメントを担うべき大学教員集団においても,管理運営への参加が,国内法制では明確でない等の構造的問題がある.