抄録
本稿は、海外製品開発拠点の能力構築について、断続平衡の視点から、「探索」と「活用」がどのように経時的に連結されるのか、またそれによって海外製品開発拠点の能力がどのように構築されるのかを明らかにすることを目的とする。特に、本稿では、多国籍企業の既存研究から議論が少なかった「探索」から「活用」へのモードの切り替えという順序にフォーカスし、その能力構築プロセスを明らかにする。この目的から、日本分析計測機器メーカー(A 社)の中国開発センターを対象とし、「探索」と「活用」の順序という視点から当該拠点の設立過程について分析した。
事例分析では、中国開発センター現地で「探索」的な活動を先に実施することで、価値基準や現地環境の理解などのより根本的な問題についての学習が進み、それに方向づけられた「活用」活動を進めることによって製品の現地適応が実現されていたことが明らかになった。この分析結果について、このような順序での能力構築が適合的だと考えられる状況や、その研究上の意義などについて議論した。