国際保健医療
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外国人旅行者の我が国の医療体制に対する不安要因
山岸 祥子佐久間 夕美子宮内 清子松本 彩子堀川 沙織渋井 優青木 早織佐藤 千史
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2008 年 23 巻 4 号 p. 273-279

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抄録
背景
 近年、日本では外国人旅行者数が増加している。旅行中に病気や怪我をすることは少ないが、旅行者は外国での医療サービスに対し不安を感じている。本研究では、訪日旅行者が日本の医療サービスをどのように感じているかについて検討することを目的とした。
方法
 東京都観光情報センターを来訪した外国人旅行者に質問紙調査を実施した。調査用紙は、英語・中国語・韓国語の 3種類作成した。調査内容は日本の医療に対する不安感、医療水準の評価などに関する 12項目とした。
結果と考察
 外国人旅行者 163名より回答を得た。英語の調査用紙では 98名、中国語が 39名、韓国語は 26名が回答した。(1)英語を母国語とする外国人旅行者は日本の医療スタッフとのコミュニケーションに強い不安を感じていた( p<0.001)。(2)中国語と韓国語による回答者は、日本の医療水準に対する主観的な評価が低かった( p<0.001)。(3)中国語と韓国語の回答者では滞在中の医療費についての不安が高かった(p<0.001)。(4)緊急時の対処行動では英語の回答者で「薬局や病院を探す」が最も多く、中国語と韓国語の回答者では「旅行会社や添乗員に連絡する」が最も多かった。
結論
 日本の医療スタッフは、外国人旅行者の国民性・文化的背景によるニーズに配慮する必要がある。
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© 2008 日本国際保健医療学会
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