社会言語科学
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研究論文
挙手行動に代わる意見表明方法の提案―小学校におけるプレゼンテーション相互評価を例に―
森 篤嗣山口 昌也
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2020 年 23 巻 1 号 p. 147-161

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抄録

「新しい学習・教育」を検討する際には,社会的要請や技術的進展に合わせ,自明視された概念を疑い,見直す必要がある.本稿では自明視された概念の例として,挙手行動を取り上げ,小学校社会科におけるプレゼンテーション活動を対象に,アノテーションツールFishWatchr Miniを利用した挙手行動に代わる意見表明方法の提案をおこなった.挙手行動は,3人以上による談話場面において,自らの発話ターンを主張する方法として,古典的でありながら現代でもなお用いられ続けている行動である.しかし,提案手法を含め,ICTを利用すれば,全児童が意見を表明し,お互いの意見を知ることができるという,挙手行動では実現できなかった利点が生じる.この利点は,現在の社会で求められている市民の積極的な社会参加や,インターネット上などに存在する多様な意見の扱いを学ぶ上で有用であり,教育現場で活用すべきである.その一方で,児童の大量の意見を迅速に把握し,整理して示すファシリテーターとしての教師の役割が重要になる.本稿では,その実例として,児童による「連打アノテーション」の扱いと,アノテーション結果を用いた指導方法について論じた.

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