抄録
新燃岳2011年のサブプリニー式噴火,ブルカノ式噴火の急冷した軽石中に,ナノライトが晶出していることを発見した.ブルカノ式噴火軽石と本質溶岩片中には輝石と斜長石のナノライトが見られるが,より高速なマグマの上昇によって引き起こされると考えられるサブプリニー式噴火の軽石中には,斜長石のナノライトはなく,輝石のナノライトのみが晶出していることが明らかになった.マイクロライトの結晶度・数密度は噴火様式に関係なくほぼ同じであった.このことは,ナノライトの有無や鉱物種,数密度が,マイクロライトでは区別できない,地表付近でのわずかなマグマの脱水状態(減圧速度)の違いを敏感に反映していることを示している.