2017 年 27 巻 3 号 p. 111-118
気候変動が進行する中で,最も脆弱性を示す地域はモンゴルをはじめとしたステップ気候帯と言われており,モンゴルは気候変動による影響を受け,草原の劣化,さらに砂漠化が進行し,現地の人々の生活の脅威となっている.現在,モンゴルでは多くの日本の団体が植林事業を実施しているが,多くの植林事業は家畜による食害のために,植樹作業が無駄になっている.持続可能な植林事業の推進には,地元住民の参加が不可欠である.収益を得るまで長い時間を要する植林事業には関心が薄く,経済的利益との組み合わせを計画する必要がある.本事業では従来無価値とされていた植物カラガナを有価物に転換し,TTM A)に基づいて,経済的インセンティブを引き出し,持続可能なアグロフォレストリーを導入し,遊牧民の行動変容を促す計画である.