2022 年 3 巻 1 号 p. 133-151
本研究は、ビデオを利⽤した指導が語彙知識習得に効果的かを調査するためのものである。タスクとして、クローズディクテーションを⽤いて社会問題などのテーマに対するコンテンツ知識と語彙知識の習得の測定を試みた。対象は日本人短期大学生であり、素材にはアメリカ政府機関より配信された地球温暖化のビデオ映像を⽤いた。そして、3 つのテスト(クローズギャップテスト、コンテンツ知識テスト、マッチングテスト)を実施した。実験は3 週間に渡り、第1 週目にプリテスト、2 週目に字幕なしでビデオを⾒せ、その間にクローズディクテーションをさせ、3 週目にプリテストと同様のポストテストを実施した。マッチングテストによって受容語彙を、クローズギャップテストによって発表語彙を、コンテンツ知識によって地球温暖化のコンテンツの理解度をそれぞれ測定した。分析結果から、クローズギャップテスト、コンテンツ知識テストには統計的に有意差があるということがわかった。しかし、マッチングテストではプリテストのスコアが⾼かったため有意差は⾒られなかった。今回の研究は予備的なものであり、今後ビデオ教材の有効性に対して検証を重ねてゆきたい。