医療情報学
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原著
医療事故防止のための病院情報システム・イントラネットを利用したインシデントレポーティングシステムの運用とその効果
中島 和江桑田 成規松村 泰志大嶋 比呂志武田 裕
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2001 年 21 巻 1 号 p. 77-82

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抄録

 医療事故防止には,医療従事者による自主的な事故や潜在的事故事例(インシデント)の報告が不可欠である.大阪大学医学部附属病院では,病院情報システムの端末からイントラネットを利用して入力するインシデントレポートシステムを開発し,運用を開始した.報告推進のため,報告者名は無記名,必須入力項目はテンプレート方式による構造化データ入力とした.本システムでは,WWWクライアント/サーバシステムが採用され,ユーザは,WWWブラウザのフォームへの入力という形で報告を行う.構造化されたデータ入力により事例の根本的原因分析が可能となり,部門を越えた情報の共有化により対応策を速やかに決定できるようになった.これまでに,多くのインシデントが様々な職種から報告され,迅速な警告の発信や教育的フィードバック,システムの改善を行っている.情報処理通信技術を活用したインシデントレポートは,今後のリスクマネジメントに有用であると考えられる.

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© 2001 一般社団法人 日本医療情報学会
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