医療情報学
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原著-研究論文
患者受療圏モデルに基づく1都3県の医療需給バランスの将来予測
土井 俊祐井出 博生井上 崇北山 裕子西出 朱美中村 利仁藤田 伸輔鈴木 隆弘高林 克日己
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2015 年 35 巻 4 号 p. 157-166

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抄録

 急速に高齢化が進む首都圏においては,医療機関が充実しているにもかかわらず,今後近隣の病院を受診できない事態が想定される.そこで本研究では,交通解析に基づく患者受療圏モデルにより,患者が通院できる範囲を考慮した上で将来の医療の需給バランスを推計する手法を検討した.方法として,1都3県の500 mメッシュごとに,国勢調査人口と各政府統計から2040年までの病院への入院患者数を推計した.病院までの移動時間は車で60分以内としてシミュレートし,患者数と各病院の病床数と比較した.結果として,2020年以降病床数の不足するメッシュが発生し,東京を中心に広がっていくことが示された.また,平均在院日数等のパラメータを変化させ需要超過の推移を見たところ,需要超過量の減少傾向を地理的・経時的に見ることができたことから,本研究により医療需要の急増に備える対策を検討する上で,具体的な目標値を提供することに期待できる.

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© 2015 一般社団法人 日本医療情報学会
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